噛み合わない

管理組合のことを考えているようで、結局、自分の懐具合しか関心がない。

S氏曰く、

「これだけの期間、組合員同士が対立しているのは、マンションのためにならない」

「管理規約の制限はあるが、ここは、超法規的措置を取らざるを得ない」

A理事長が尋ねます。

「超法規的措置とは?」

S氏曰く、

「B氏と接点があるのは私だけ。私に権限を持たせてくれれば、この紛争を解決できる」

A理事長は、さらに尋ねます。

「S氏も理事となって、一緒にB氏に対抗しませんか?」

S氏、

「それはできない」

その後は、まったく話が嚙み合いませんでした。

和解

A理事長の地位確認判決を得て、

A理事長による臨時総会を招集し、

当該臨時総会の成立をもってしても、

凍結された銀行口座が解除されない。

ほかに、何をやれと言うのか。。。

役員方々も、完全に行き詰ってしまいました。

「和解」

この二文字がチラつきましたが、A理事長は譲りません。

それこそB氏の思うつぼだと。

そこで、打開策を探るべく、K氏、S氏と再びコンタクトを取り始めました。

銀行口座凍結解除

判決に基づく理事長による総会招集、そして、総会成立。

これをもって、正常な管理組合運営に戻すべく、

銀行口座凍結解除に向けて、理事会は動き出しました。

ところが、銀行担当者の対応が遅く、いつまで経っても手続きが進みません。

議案書を提出しろだの、委任状を見せろだの、

様々な書類の提出を求めるばかりで、その先に進まないのです。

あまりに遅々としているため、

役員の方が銀行に出向いて、その理由を問いただしました。

すると、

B氏が執拗に凍結解除をしないよう、銀行に電話攻勢をかけていました。

曰く、

万一、凍結解除した場合、同じ組合員として、銀行に対し断固とした対応をとる、と。

事前準備②

会場にも気を使いました。

予約者本人以外に部屋の鍵を渡さなないよう念押しし、

総会開催の2時間前に会場入りしました。

入口をロックして、設営していたところ、

開催1時間前に、

K氏が電話をしながらやってきました。

「開いてないで」

事前準備

紛争により、上程しなければならない議案はたくさんあるのですが、

とにかく、総会成立を優先し、

最低限必要な決算報告と役員承認、予算承認だけとしました。

さらに、

いつものマンションエントランスだと、

会場を確保し、出入口には受付員を配備、

理事会

A管理会社からの報告を受け、

A理事長は、売却方針を何とか持ちこたえました。

なんとしても、総会を成立させる、この一点に集中することとしました。

そのためには、

真実を理解してもらえたであろう、

改革有志の方々と、改めて、会談する必要があります。

早速、A管理会社に、会合の調整(理事会)を依頼しました。

機転

会合には、

S氏筆頭に、いわゆる改革有志数名と、

自称B理事長が契約したB管理会社、

A理事長時代からのA管理会社が出席しました。

ところが、

B管理会社は、早々に退席し、

その後、S氏からは、

例のA理事長の不正疑惑?について、A管理会社に説明するよう要請がありました。

どうも、これが本題だったようです。

別路線

管理組合が紛争で二分されてしまった場合、

外部からの第三者しか解決できないのでしょうか?

どちらの意見も判断しにくいから、

紛争が収まるまで「静観」します、といって、

総会の議決権行使さえしないという組合員。

総会が成立しないということは、

このまま何も変わらない、ということです。

そんな時は、「売却」すればいい、と思っているのでしょうか?

A理事長との話し合いが決裂したS氏は、

A理事長時代からの管理会社にアプローチをかけてきました。

模索

そんなA理事長の心情を知ってから知らずか、

S氏とK氏が、話し合いをしないか、と持ち掛けてきました。

A理事長及び役員方も、

このままでは、打つ手なしの状態でしたので、

話し合いに応じました。

一回に3時間程度、数回話し合いの場を設けましたが、

最終的には決裂しました。

理由は、

結局、S氏を緊急理事長として認めろ、といった主張だったからです。

そもそも緊急理事長とは何か?

そんなもの総会の決議もなしに、誰に認める権限があるのか?

仮に立候補者としてS氏を理事長にするにも、(A理事長招集の)総会自体成立しないではないか。

S氏は、その総会に議決権行使するのですか?

役員方の疑問には何一つ答えず、

B氏とA理事長の間に立って仲介できるのはS氏しかいない、と、

かつてB氏と組んでいたK氏も推薦します。

銀行口座凍結

2021年3月に、

A理事長の地位確定の判決がでました。

仮処分で凍結解除されなかった管理組合の銀行口座が、

これでやっと使用することができる、と役員方は思っていました。

コロナ感染拡大の中、

建物の維持管理を復活させるため、

弁護士共々、某都市銀行へ向かいましたが、

担当の副支店長曰く、判決確定に加え、総会決議が必要、とのことでした。