施工会社選定のためのヒアリング会(各社にプレゼンテーションをしてもらう場)に出席したB氏、
「開催しても意味ないんじゃないですか?」
「もう役員ではないのですから」
A氏他の役員に、K氏からの1/5請求(※)の件が伝わり、
ヒアリング会は、中止となりました。
※1/5請求:組合員が組合員総数及び議決権総数の1/5の同意を得て、会議の目的を示し臨時総会開催を理事長に請求すること
施工会社選定のためのヒアリング会(各社にプレゼンテーションをしてもらう場)に出席したB氏、
「開催しても意味ないんじゃないですか?」
「もう役員ではないのですから」
A氏他の役員に、K氏からの1/5請求(※)の件が伝わり、
ヒアリング会は、中止となりました。
※1/5請求:組合員が組合員総数及び議決権総数の1/5の同意を得て、会議の目的を示し臨時総会開催を理事長に請求すること
施工会社候補各社にプレゼンテーションをしてもらい、
参加者の意見を参考に理事会で臨時総会に上程する会社を絞り込む、
そのヒアリング会(理事会)前夜のことでした。
K氏より、
管理規約第〇〇条(組合員の総会招集権)に基づき、
組合員総数の5分の1以上の同意を得たので、
現役員解任の臨時総会開催を請求する、との連絡が、管理会社にありました。
電話口では、K氏に、B氏がそのセリフささやいていました。
理事会で選定したコンサルタントと契約し、
大規模修繕工事の範囲や仕様の検討を重ね、施工会社を公募しました。
そして、理事会で施工会社を絞り込む前に、各社にプレゼンテーションを行ってもらうこととしました。
選考会の案内を全組合員に配布し、出席された方の意見を参考に、
理事会で臨時総会に上程する施工会社を選定する手順です。
ここに至るまで、すべて理事会で審議、決議しています。
当然、新役員となったB氏も出席していました。
【考察】
A氏に対し、理事会運営に疑義があるとして、
組合員1/5の同意を得て臨時総会の開催を請求したのは、一組合員で傍聴者でもあったK氏です。
B氏は理事ですから、K氏を利用したのでしょう。
理事会で物事を進めていくにあたっては、
可能な限り協議を重ねるものの、最終的には多数決にならざるを得ません。
その決議に従わない、のは、何らかの思惑があると思ってそれほど大きく外れていません。
声が大きく、聞く耳は持たず、自分の主張ばかりするのがパターンです。
しかし、
本当に、思惑をもって人を動かそうとすれば、
もっと静かに、理路整然と、感情を多少交えながら、やさしく語りかけるものです。
B氏は、目が笑っていない笑顔を振りまく、後者のパターンでした。
このとき、管理会社は、B氏の懐柔策を警戒しました。
当然と言えば当然ですが、
万一ここで、管理会社とB氏が手を組んでいれば、
表向き平穏な管理組合運営を装いながら、B氏の思惑どおり事が進んだことでしょう。
そして、大規模修繕手抜き工事をされてもわからなかったと思います。
B氏と管理会社のその後のやりとりは、すべて、役員方に伝わることとなりました。
大規模修繕工事を実施するには、
工事範囲や仕様を定めて、施工会社を選定しなければなりません。
一般的な手順として、
建物診断を行って工事範囲と仕様を定め、数社から見積を取得します。
検討の際、可能な限り金額だけで比較できるよう、
共通仕様書などの作成をコンサルタント会社に依頼することもあります。
決定するには、〇〇会社で、工事費用〇〇円で、〇〇修繕工事を実施する案を総会に上程し、決議を得ます。
理事会で作業を進めていく中、B氏からは、管理会社に何度も連絡がありました。
B氏曰く、「施工会社選定を一緒に進めていこう。バックマージン支払うから」
理事会では、着々と大規模修繕工事に向けた打ち合わせが進んでいました。
そんな中、B氏より、エレベーター点検費用削減の提案がありました。
ご丁寧に他の役員ができないなら、B氏が交渉する旨の確認が事前にあり、
その結果、エレベーター点検費用が幾分削減(契約内容は同じ)されました。
B氏曰く「私の功労であることをお忘れなく」
また、管理会社にも連絡がありました。
「私の所有している他のマンションが管理会社変更するので紹介したい」
B氏は、自身の位置づけ向上や管理会社懐柔など、
この先の大規模修繕工事のひも付き業者受注へ向けて、
着々と、布石を打っていたのです。
B氏含めた理事会が初めて開催されたときのことです。
第一声は、今でも覚えています。
「長期修繕計画どおりの修繕をなぜ実施しないのか」
「私は他に同様のマンションを100棟所有している(という専門的見地から発言している)」
たまたま、この投資型マンションの役員にも、オーナー業の方がいたため、
単にオーバーだな、との感想をお持ちになったようです。
しかし、この専門家ぶった言い回しはB氏の得意とするところで、
一般の方ばかりの理事会ですと、おそらくこの後のB氏の発言力がより強まっていたことでしょう。
理事会として大規模修繕工事を進めることに異存はありませんでしたので、
早速、着工へ向けた準備に取り掛かることとしました。
この投資型マンションは、
過去に管理会社のずさんな管理が問題となり、
新しく管理組合の運営体制を変更した経緯があります。
その結果、管理費会計の収支も改善され、
長期修繕(資金)計画上における大規模修繕工事及び積立金値上改定を遅らせることができました。
そして、そろそろ大規模修繕工事を実施しようかという時期でした。